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個人事業主がバーチャルオフィスを開業届の住所に使う|納税地の扱いと12社の可否

公開 2026-09-21|掲載データの確認日 2026-09-21

個人事業主がバーチャルオフィスを使うとき、いちばん気になるのが「開業届にその住所を書いていいのか」だと思います。まず国税庁の記載を確認し、そのうえで各社がどう案内しているかを見ていきます。

開業届の「納税地」と「事業所の所在地」は別の欄

国税庁の手続案内(A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続)によると、開業届の記載事項には納税地事業所の所在地の両方があります。この2つは同じである必要はありません。

納税地の原則と特例

国税庁のタックスアンサーNo.2029には、こう書かれています。

  • 原則:国内に住所がある人は、その住所地が納税地になる
  • 特例:国内に住所または居所のいずれかがある人が、その住所または居所の他に事業所などがある場合には、住所地等に代えてその事業所などの所在地を納税地にすることができる

納税地の特例による変更は、「変更後の納税地を記載した所得税または消費税の申告書を提出することにより変更することができます」とされています。年の途中で文書の送付先を変えたい場合には「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書」を提出できます。

つまり、自宅を納税地にしたまま、事業所の所在地としてバーチャルオフィスの住所を書くという形は、制度上ありうる書き方です。逆にバーチャルオフィスの住所を納税地にできるかどうかは、それが「事業所など」に当たるかの判断が必要で、事業の実態によります。ここは一般論で決められないため、所轄の税務署か税理士に確認してください。この記事では、どちらが正しいという判断はしません。

提出期限は「1か月以内」ではない

開業届の提出時期について、国税庁の案内は次のとおりです。

事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までに提出してください。

「開業から1か月以内」と書いている解説を見かけますが、2026年9月21日時点の国税庁の記載は上記です。提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、その翌日が期限になります。手続根拠は所得税法第229条です。

提出先は納税地を所轄する税務署長です。国税庁の備考には「新設、増設、移転、廃止に係る事務所・事業所の所在地が納税地と異なる場合であっても、納税地を所轄する税務署長以外の税務署長への提出は不要です」とあります。自宅を納税地にしてバーチャルオフィスを事業所にした場合でも、提出先は自宅の所轄税務署ひとつで足ります。

「開業届の住所に使える」と明記している社

各社の公式サイトの用途例に、開業届が挙がっているものがあります。

  • METSバーチャルオフィス ライトプラン(270円/月):用途例に「開業届の住所」。ただし郵便サービス(保管・通知・来店受取・転送)がすべて利用不可で、法人登記もできません
  • METSバーチャルオフィス ネットショッププラン(550円/月):用途例に「開業届の住所」。公式のプラン比較でも「税務署から届く郵便物(開業届に記載した宛名等)の拠点として利用できる(ライトは不可)」とライトとの違いが説明されています
  • DMMバーチャルオフィス ミニマムプラン(660円/月):荷物の受取範囲が「返品/返送品・個人事業主の税金関連書類のみ」と明記

ここが実務上の分かれ目です。開業届に事業所として書くと、税務署からの書類がその住所に届く可能性があります。ライトプランのように郵便を一切受け取れないプランだと、届いた郵便は受け取れません。

個人事業主向けプランの一覧

登記が不要な個人事業主が選べるプランを、郵便物の扱いで分けました。金額はすべて税込です。

郵便物を受け取れないプラン(住所の掲載だけ)

サービス・プラン 月額 初期費用 注意点
METS ライト 270円(12か月一括・最低12か月)/330円(毎月払い・最低3か月) 3,850円 郵便の保管・通知・来店受取・転送すべて不可。来客対応・会員サイトも不可
GMO 転送なしプラン 660円 0円 来店受取を含む一切の郵便物受取が不可

郵便物を受け取れるプラン

サービス・プラン 月額 初期費用 郵便の扱い
レゾナンス ネットショップ住所貸し 550円 5,500円 毎週水曜転送、写真通知無料、来店受取可。ネットショップ(物販)以外は申込不可
METS ネットショップ 550円(最低12か月) 3,850円 すべて自動で即時転送(郵送料+手数料550円/回)。到着通知・来店受取・転送タイミング指定は不可
DMM ミニマム 660円(年間契約のみ) 5,500円 返品/返送品・個人事業主の税金関連書類のみ。週1回転送、写真通知あり
バーチャルオフィス1 880円(年間契約) 5,500円 月4回転送、来館引取可。法人登記も可
レゾナンス バーチャルオフィスコース 990円 5,500円(条件付きで0円) 週1回または月1回転送、写真通知無料
NAWABARI ネットショップ運営 1,100円(年間一括13,200円) 5,500円 週1回転送。法人登記も可
METS ビジネス(郵便受取) 1,100円(キャンペーン実質825円) 3,850円 保管・通知・来店受取あり。転送は即時転送のみ。法人登記は不可
GMO 月1転送プラン 1,650円 0円 月1回転送、写真通知あり。法人登記も可
デジラボ 2,220円(年払い26,400円) 2,200円 LINEで画像付き通知、店頭引き取り無料、転送は送料実費。法人登記も可

「屋号」で郵便を受け取れるかを確認する

個人事業主は屋号で取引することが多く、屋号宛の郵便が届きます。この扱いは社によって違います。

  • GMOオフィスサポート:個人・法人それぞれ1つまで無料で登録可。2つ目以降は1件につき1,650円/月
  • METS:宛名追加1件無料(屋号、ショップ名等)。ネットショッププランは「契約名」または「屋号(ショップ名)」の登録が必須で、登録名と宛名が完全一致しないものは受取対応しないと明記
  • DMM:1アカウントにつき1屋号まで無料登録可。追加は1件あたり1,650円/月
  • レゾナンス:屋号追加は3つまで可能。週1転送プランは1,650円/月、月1転送プランは990円/月
  • デジラボ:実名・屋号・社名以外の宛名で使う場合は事前連絡が必要。事前連絡のない宛名の郵便物は7日間保管後に郵便局へ返却

ペンネームやショップ名で受け取る予定があるなら、契約時に登録しておかないと受け取れないことがあります。

個人事業主が使えない用途

  • Karigo:「住民票の住所としては一切ご利用いただけません」「特定派遣事業届出や古物商届出など、実際のスペースが必要となる事業への届出には利用できません」
  • デジラボ:住民票・パスポート・免許証等の公的申請への利用不可

古物商許可のように、実際の営業所を要件にしている許認可があります。バーチャルオフィスの住所で申請できるかは所管の窓口(古物商なら都道府県公安委員会)に確認が必要です。

契約前に確認しておくこと

  • 開業届に事業所として書くなら、税務署からの郵便を受け取れるプラン
  • 屋号宛の郵便を受け取る予定があるか。登録できる屋号は何件までか、追加料金はいくらか
  • 納税地を自宅にするか事業所にするか(判断に迷うなら所轄税務署か税理士へ)
  • 予定している事業に許認可が必要なら、その住所要件を所管官庁に確認したか

料金全体の比較はバーチャルオフィス比較12社、登記の可否はバーチャルオフィスで法人登記はできる?にまとめています。


この記事の内容は2026年9月21日時点で国税庁および各社公式サイトに掲載されていたものです。税務上の取り扱いは個別の事情で変わります。判断が必要な場合は所轄の税務署または税理士にご確認ください。

出典(確認日 2026-09-21

本記事は各社公式サイトの記載にもとづく整理です。最新の料金・条件は各社公式サイトでご確認ください。記事一覧へ